春の写生会の報告
此処彼処の木が芽吹き新緑の季節も近い4月14日、会員14名が朝8時に塩尻市役所に集合し諏訪湖へ出かけました。天気はくもりで風が強い中、車3台に分乗し湖畔を眺めながら目的地へ向かいました。
ヨットハーバーは諏訪湖が雄大に広がっているので、何人かは20号の大きなキャンバスを用意して気合が入っています。塩尻からこんなに近くでヨットが描けるなんて嬉しい限りです。水面と船と桟橋、湖越しに見える対岸の山、雲が流れている空、どこを組み合わせてもいい絵が描けそうです。湖を見ながら構図を考えていた時、ちょうど水陸両用の観光バスが桟橋に入ってきました。朝早い時間のためか大きなバスにお客さんは2人で、バスは“ざぶん”と水の中に突っ込み湖面を進んで行きました。美術会の皆で出発を見送りました。
片倉館は国の重要文化財です。1928年に建てられた日本初の西洋式温泉施設です。レンガ色の建物と取り巻いて聳えているイチョウや樅の木、噴水のある小さな池には番のカモがいました。周りを建物で囲まれてひっそりとした異国の様な空間で、ここもいい絵になりそうです。ヨットハーバーと片倉館に分かれて写生開始です。
私は悩んだ末に片倉館にしました。イチョウの枝ぶりが建物と美しく調和していたのでそこを描きたいと思ったのです。10号のキャンバスをイーゼルに縦に据えました。片倉館には5人が取組みました。建物を細密に描いた人、淡い雰囲気でまとめた人、強い色調でコントラストを活かした人、池の中に注目して描いた人、それぞれの捉え方があり会員の個性が出ます。噴水の端にある西洋風の白い丸テーブルで昼食にしました。午後は完成を目指します。片倉館を訪れた旅行客が「絵を見せてください」と覗いて行きます。建物の壁の色が午前と午後で違います。空の色も変わります。時々小さな花弁が落ちてきてキャンバスの絵の具にくっつきます。自然の空気に浸りながら2時半ごろに切り上げました。現場の制作としてはまずまずの出来かなと思います。
ヨットハーバーに向かい全員合流しました。大きなキャンバスにヨットや湖を描いた絵を持って引き上げてくる仲間の皆さんを見ると、ヨットハーバーも描きたいなと率直に思いました。強風のため陸揚げされていたヨットの陰で描いたりと苦労もあったようです。
帰る途中でコーヒータイムを取り、朝集合した塩尻市役所に戻ります。残っている参加者と小松会長で研究会をしました。作品を並べてみると会員それぞれの視点や狙いの違いが分かります。自然の中で絵を描く楽しさを満喫した1日でした。